イベント[追想公演] のバックアップ(No.2)


ここでは、[LIVEツアーカーニバル:追想公演 Missing Link Memories]についての加奈ちゃんさんをまとめています。

イベント情報

開催期間
2020/12/10 ~ 2020/12/18
登場アイドル一覧
[お花見]水木聖來
  • ステージクリア報酬
  • メダルチャンス(ガチャ)
[ディアンドルガール]北川真尋
  • メダルチャンス(ガチャ)
[美しき挑発]兵藤レナ
  • 引換カード交換
  • メダルチャンス(ガチャ)
[ギフト・レミニセンス]二宮飛鳥
  • 個人ランキング報酬

オープニング

???

人とは、想いを託す存在です。

時には言葉に優しさを。
時には贈り物に慈悲を。
そして、時には記憶に愛憎を。

人は今日も、誰かから託された想いを胸に──
このセカイで生きています。
ミナミ
待ちなさい!
ユウキ・オトクラ!
ユウキ
ま、待ちません……っ!
ユウキ
はぁっ……はぁっ……!
……まだ、私の走りについてきてる……っ! しかも、息切れもしてないなんてっ!
ミナミ
貴方は違反者です。
死人(しびと)の記憶を、想いを生者に届けに行くなんて……。
ミナミ
明らかに、私たちの組織『記憶統制機関』──
メモリーズシステムの掟と相反します!
ミナミ
今すぐ止まりなさい!
ユウキ
お断りします……っ!
だって、私たちには……
届けたい想いがあるからっ!
ミナミ
くっ……ちょこまかと鬱陶しい……!
一気に片づけてしまいましょう。
ミナミ
ザシュッ
ユウキ
わわっ!?
ユウキ
(剣を抜いた……っ!
どうしよう……これじゃあ時間稼ぎにも限界がありますよ……っ!)
ユウキ
(アスカさん……上手くやってくれてるといいけど……っ)

ピピピピピ

???
『おい! ミナミ! 聞こえるか?』
ミナミ
はい。何でしょう、ナツキさん。
現在、対象者を追跡中です。
用件は手短に……

ナツキ
『そいつはただの囮だ!
『箱』を持った対象者は……
アスカは、別の場所にいるッ!』


女性
このプレゼントを、弟が……?
アスカ
ああ、キミに受け取ってほしいとのことだ。死してなお、彼は姉に想いを託すことを選んだ。

女性
それじゃあ……弟は、今もこの近くに……?
アスカ
いや……今はもう、天界か冥界かといったところかな。
アスカ
彼の精神は、このセカイにギリギリまで留まることを選んだけれど、途中で限界を迎えてしまってね。
アスカ
これは、彼からキミへ、最期の贈り物というわけだ。

女性
そうですか……。
アスカ
キミが受け入れられるのなら、リボンを解き、中身を確かめてみるといい。

女性
わかりました。
……あの子の世界は、幼い頃からずっと、ベッドの上だけでした。

女性
気丈に振る舞っていたけど、本当は寂しかったのかもしれない……。

女性
私、知りたいです……っ!
あの子が、どんな景色を見て、私に何を思っていたのか……。

しゅるっ

女性
これは……アルバム……?
アスカ
ページを捲ってみるといい。
……このプレゼントの本質はそこにあるから。

女性
これが……この綺麗な景色が、あの子の見てた世界なのね。
……ううん。それだけじゃない。

女性
不思議な感覚だわ。
流れ込んでくるの。写真を撮った時の、あの子の記憶……
あの子の想いが……。


──お姉ちゃんも、この写真、好きかなぁ?
外に出られなくても、窓から見る景色は、とっても綺麗!


──それを伝えたくて、僕はずっと、写真を撮ってた。


──アルバムの最後は、僕の願いも込めて、笑顔のお姉ちゃんの写真にしよう。


──お姉ちゃんには、僕の分まで綺麗な景色をたくさん見てほしい。それで、ずっと笑顔でいてほしい!


──僕は、お姉ちゃんのことが大好きだから!

女性
…………っ!
私も……、私もあなたのこと、ずっと、ずっと、大好きよ……っ!

女性
あの……っ!
ありがとうございました。
弟の想いを、届けてくれて……っ!
アスカ
……別にたいしたことじゃない。ボクはボクのしたいことをしただけだ。

ナツキ
今日もしてやられちまったな。

ピピピピピ

ミナミ
『……はい。こちらミナミ』
ナツキ
ははっ、不機嫌そうだな。
それも当然か。

ミナミ
『……茶化すのはやめてください』
ナツキ
悪い悪い。
任務失敗だ。死者の想いは生者に伝わっちまった。
今日は引くぞ。

ミナミ
『…………はい、先輩』

アスカ
…………。
ユウキ
アスカさん?
お疲れですかっ?
アスカ
ああ、仮眠でもとろうかと思ってね……。
ユウキ
では、私は事務所のお掃除をしておきますっ! 今日はモデルのお仕事もお休みなのでっ!
アスカ
助かるよ。
……相変わらず元気だな、キミは。
ユウキ
はいっ!
そういうアスカさんは、元気なさそうですね?
ユウキ
依頼された贈り物は無事届けられたし……
あ、お姉さんの反応がよくなかったとかですかっ?
アスカ
ボクは届け先の反応まで気にしたりしないさ。
アスカ
ただ……また、何も思い出せなかったと思ってね。自分のことも、人が物を贈り合う意味も。
アスカ
今回の依頼人である弟も、届け先の姉も、家族を……互いを好きだと言っていた。
アスカ
好きも嫌いも、人が誰かに一方的に抱く感情……
言ってみれば、エゴに過ぎない。
アスカ
……なのに、どうして人は、その感情に振り回され続けるんだろう。相手に伝えたいと望むんだろう。
ユウキ
だからこそ、アスカさんは贈り物を届け続けるんじゃないですか。いつか、その答えを知るためにっ。
アスカ
……本当に、理解る時が来るんだろうか……名前も憶えてない彼女は……どんな想いで、あの言葉を……。
ユウキ
アスカさん……?
アスカ
…………。
ユウキ
寝ちゃってますね……。
もう、風邪ひきますよっ。
毛布毛布っと!

彼女は、よく言っていました。
人に記憶を届け、想いを託す。
なのに、自分には何もない。
誰かに託す記憶も、想いも。

だから、彼女は生者と死人の境を越えて、何度も何度も、プレゼントを届け続けた。

いつか、記憶を──自分が誰かに託そうとしていた気持ちを、思い出せるよう願いながら。